中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
針治療というと、一体どんな針を刺されるのだろう、と心配する人も多いようですが、針治療で使う「針」とは一体どれくらいの太さ、長さのものなのでしょう?
ひと昔前まで、針の教育現場では「寸6・3番」(すんろく・さんばん)というサイズが一般的だったと思います(学校ごと、先生ごとの違いはあると思います)。
この「寸6」(すんろく)というのは「1寸6分」(いっすんろくぶ)のことで針体(※名称説明後述)の長さを表します。1寸は約30.3㎜(約3センチメートル)なので、「1寸6分」だと約48㎜(4センチ8ミリメートル)ということになります。
長さの単位は単純に数字が大きくなるほど針体の長さが長く、数字が小さければ短い針ということになります。5分針から1寸、1寸3分、1寸6分、2寸、2寸5分、3寸などがあります。
次の「3番」というのが太さの単位で、針(針体)の外径を表します。
3番針は針体の外径が0.20㎜です。針の太さは数字が小さいほど細く、数字が大きいほど太くなってゆき、1番違うごとに0.02㎜ずつ太さが変わります。つまり0番では0.14㎜、1番が0.16㎜、2番が0.18㎜、5番だと0.24㎜、8番では0.30㎜となります。
とは言え、これがどれくらい太いのか細いのか、分かりづらいですよね。
日本人の髪の毛は欧米人に比べて平均的に太いようですが、細い毛で0.06㎜、普通は0.10㎜程度、太めの毛では0.12~0.15㎜だそうです。
病院で採血や静脈注射などによく使われる注射針は21~23G(ゲージ:数字が大きいほど細い)だそうで、23Gでは外径が0.65㎜、内径が0.40㎜あり、輸血用の18Gだと外径が1.2㎜、内径が0.94㎜あります。
針治療に抵抗がある人は、病院での注射が苦手な方多いかもしれませんが、注射針の針と針治療の針とを比べると、まず太さが全く違うことが分かると思います。針治療に使用される針は注射針の血液や薬液が通る穴にすっぽりと入る程の細さで、髪の毛にも近い細さだということが分かります。
ちなみに中国では針の太さの呼び方が異なり、日本とは逆に番数が大きくなるほど細く、番数が小さいほど針が太くなっています。
中国針 |
日本針 |
外径 |
38番 |
2番 |
0.18㎜ |
36番 |
3番 |
0.20㎜ |
34番 |
4番 |
0.22㎜ |
32番 |
5番 |
0.24㎜ |
30番 |
8番 |
0.30㎜ |
針治療で用いる針の形状は写真の通りで、体に刺入してゆく部分を「針体」(しんたい)といいます。先に述べた針の"長さ"というのはこの針体の部分の長さを言います。
その針体の先端部分を「針尖」(しんせん)といいます。この針尖には鋭角なものや丸みを帯びたものなど様々な形状があり、その形状によって針の刺入感が異なってきます。
針体の上の部分、針体よりも少し太くなっている部分を「針柄」(しんぺい)といい、ここを持って刺入した針の操作をしたり刺激を伝えたりします。
後で再度詳しく述べますが、いわゆる中国針と日本の針との最も大きな違いはこの針柄の形状だと言えます。
最近では鍼灸学校の授業でもステンレス製のディスポーザブル針(滅菌された使い捨ての針)が用いられるようですが、ひと昔前は「銀針」(ぎんしん)といって銀で作られた針が学校の授業のみならず臨床現場でも多く用いられていました。もちろん金針もあります。
これら金や銀の針は同じ太さでもステンレス製の針に比べて柔らかく"たわみ"、また金や銀は人体との親和性も良く治療効果も良いと考え好んで使用する人も多くいます。
銀針はいわゆる"使い捨て"ではないので、使用するたびに医療器具などを消毒する「高圧蒸気滅菌器」で滅菌消毒し、殺菌保管庫などで保管して一定回数繰り返し使用されます。針尖が摩耗して刺入し辛くなってきたら針尖を研磨して用いたりもします。
最近ではステンレス製のディスポーザブル針(滅菌された使い捨ての針※次項参照)が主流となっています。比較的安価で、感染などの心配がなく、また折針(せっしん/刺入した針が体の中で折れる)の心配も少ない安心・安全なものとなっています。
現在多くのディスポーザブル針では針柄の部分がプラスチック製で、この針柄が針の太さ(※針の太さについては既述)ごとに色分けされており、一目で何番針か分かる様になっています。
もちろん灸頭針(※灸の項目参照)用に針柄が熱に強いステンレス製のディスポーザブル針もあります。
針の刺し方としては、皮膚面に対して垂直に刺入する"直刺"が基本となりますが、針を斜め倒して刺入してゆく"斜刺"や、ほとんど横に寝かせて皮膚に這うように刺す"横刺"、深部のある一点に向かって三方向から刺入する"斉刺"など、部位や症状、病巣の深さや目的に合わせて様々な刺し方があります。
また、刺入方法についても、人差し指と親指の2本で針を持ちそのまま直接スッと刺入する方法や、針を持ったのと違うもう一方の手の人差し指と親指とで"押し手"を作り、押し手で針先を保持して刺入する方法など様々な方法があります。日本では、"管針法"という、使用する針よりも少しだけ短い管の中に針を入れ、管から出た針柄の頭を指で弾いて刺入する方法が多く用いられています。
中国鍼、日本鍼という言い方がよくされますが、両者は一体何が違って何が違わないのでしょうか?
日本では長く銀針が多く使われて、最近ではステンレス製の使い捨て針(ディスポーザブル針)が主流となってきていることは既に述べたところですが、ディスポーザブル針が主流となって来ているところは中国でも同じようです。
では大きな違いはどこにあるでしょうか?
最も大きな(目につく)違いは、針柄の形でしょう。日本の針に比べ中国の針は針柄が少し長めで、針体に極細の金属を巻き付けたような形状になっています。
龍頭と呼ばれるその形状と長さを利用して、体に刺した針の針柄の部分を爪でこすったり指で弾いたりして針に刺激を与え、ツボや経絡に刺激を与えます。
ただし、これは絶対的なものではなく、刺した針にどういった刺激を伝え、針をどういう風に操作するかは、日本でも、中国でも、鍼灸師ごとの考えや流派によって異なります。
中国針というと"太い"という印象があると思います。太くて長い針を大胆に刺す様子をテレビなどで見たことがあるという方もいるでしょう。
「日本では0番、1番(※針の太さについては既述参照)といった細い針が多様されるが、中国では一般に日本針でいう5番以上の針が使われる」といった様な紹介も良く目にします。
どの太さを基準に"太い"、あるいは"細い"というのか、という問題もありますが、確かに傾向としては、日本ではできるだけ細い針を好む傾向があり、中国ではある程度の太さの針を用いる傾向があるかもしれません。
ただしこれらも絶対的な傾向ではありません。
日本でも鍼灸の流派・会派によって用いる針の太さは様々です。2番、3番の針は"太い"として0番、1番を多用するところもあれば、それすら"太い"として、0番以下の極細針を用いる流派・会派もあります。
他方、日本でも3番前後の針を主として用い、時には5番当たりの針を用いてある程度しっかりと刺針する針治療も行われています。特に現代解剖学や生理学に基づいた針を打つ場合や刺した針にパルス(低周波)をかける電気針、トリガーポイント療法などの比較的新しい理論に基づいた針治療を行う現場では、2番、3番以上くらいの針が多く用いられています。
一方、中国の針治療にもさまざまな学派や流派、針師ごとの考えがあり、使用する針も針師によって様々です。確かに、日本針の0番、もしくは0番以下の極細針に相当するような細い針というのはあまり見ないですが、太さでいえば2番、3番、長さで言えば1寸、1寸半といった針を主として用いる針師が少なくありません。(※中国の鍼灸流派等に関しては後述参照)
中国針と呼ばれるものでも、日本針でも、同様に様々な太さ・長さの針が用意されています。
選択される針の太さ、長さは、中国でも日本でも針師ごと、流派ごとに傾向があり、患者の感受性、体質、病状に応じて使い分けられます。
精誠堂 飯田橋 針灸マッサージ治療院 院長 藤本 博和
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
針灸、マッサージ、中国整体を併設