【按摩マッサージ指圧、整体 概論】 按摩・マッサージ・指圧とは？

「按摩」、「マッサージ」、「指圧」。この３者の区別を良く理解して言葉を使い分けている人は意外と少ないかも知れません。

1）按摩

「按摩」は元々古代中国で発生したもので、「按」は"おす"、"おさえる"といったこと、「摩」は"こする"、"なでる"、"さする"といったことを意味します。
筋肉を対象に"揉捏法"（※後述）を主として、押したりさすったり、揉んだり叩いたりすることで筋肉の硬結を取り除きます。筋組織の循環が良くなり、新陳代謝が高まって栄養も高まるため、機能も盛んになります。
次に述べるマッサージと比較して、衣服の上から遠心性（体幹から四肢の末端・抹消に向けて）に施術するものとも言われます。

あん摩の基本手技には主に次の様なものがあります。

①  軽擦法
なで、さする
強い軽擦は循環系の流通を良くし新陳代謝を高める。鎮痛効果。
②  揉捏法
おし、こね、つまみ、搾るように揉む
筋組織の循環を良くし組織の新陳代謝を盛んにし栄養を高め機能を盛んにする。
③  叩打法
うち、たたく
神経や筋の興奮性を高め血行を良くし機能を亢進させる。
④  圧迫法
軟部組織を深部に向かって圧す
神経の機能の抑制により神経痛、痙攣を押さえる。
⑤  振せん法
手指を細かく震わせ振動を与える
神経や筋の興奮性を高める。
⑥  運動法
関節運動をする
関節内の血行を良くし関節液の分泌を促し、関節運動を円滑にして関節拘縮を予防する。
⑦曲手
叩打法の変形

2）マッサージ

「マッサージ」は、ヨーロッパ発祥の施術方法で、明治以降に日本に入っていたとされています。本来マッサージは皮膚に直接刺激を加えるもので、オイルやクリーム、パウダーなどの潤滑剤を用いて求心性に（体の遠隔から心臓に向かって）皮膚を揉み擦り、血流やリンパの流れの改善を図ります。
現在の日本の現状では服の上からとか、あるいはタオルなどを掛けた上から体を揉み解すことも「マッサージ」と言ったりしますが、本来の定義としては間違った認識ということになります。ちなみに按摩と指圧は服やタオルの上から行われます。

マッサージの基本手技には次のようなものがあります。

①  軽擦法
血管やリンパ管の経路に沿って抹消から心臓に向かって繰り返しなで、さする。
主に、血液、リンパ液の循環を促進し、痛み、痺れ、冷え、浮腫改善する。
その他、皮膚の新陳代謝を盛んにし汗腺、皮脂腺の機能、皮膚呼吸を盛んにする。その結果、抵抗力が強まり、筋の新陳代謝が盛んになって筋力が強まり、神経反射により内臓機能を調えることができる。
②  強擦法
炎症などによる病的滲出物をおし、もみこねて細かく砕き吸収を促す。
結合組織の硬結を解き、癒着組織をはがし、動きの悪い組織の可動性を良くする。
皮膚瘢痕などの硬化を柔らかくし可動性を良くする。
③  揉捏法
筋肉を他動的に動かす。
静脈血の流れを促し新陳代謝を盛んにし筋力を強める。筋運動機能の強化。筋萎縮、筋疲労の回復。腹部に行えば消化吸収を高め便通を良くする。皮下脂肪減少などの効果も期待できる。
④  叩打法
一定のリズムでたたく
軽く行えば神経、筋の興奮性を高め、強く行えば神経、筋の鎮静作用がある。
⑤  振せん法
軽く押しながら細かく震わせる。
神経、筋の興奮性を高める。胃腸機能も高める
⑥  圧迫法
圧す。
神経、筋の機能抑制、鎮痛、鎮痙効果があり、血液、リンパの流れも促す。
胃腸機能も盛んにする。

3）指圧

「指圧」はおそらく上記二者に比べて最も新しく生まれた施術方法で、大正時代になって様々な手法を合わせて体系化されたと言われています。日本発祥の施術方法です。「指圧」の名の通り、指による薄い衣服の上から反応点を対象に一点圧でツボを圧す（おす）ことがメインとなっています。現在では世界的にも日本語のまま「SHIATU」で通用するようになっています。

「指圧の三原則」には次の様なものがあります

①  垂直圧の法則
圧を垂直にかける
②  持続の法則
一定圧を一定時間持続する
③  集中の法則
精神を集中する

また、指圧の「基本圧法」には主に次のようなものがあります。

①  通常圧法
一点圧を3～5秒、呼吸に合わせる。
機能の亢進。循環器系、自律神経系の働きを改善する。
②  衝圧法
漸増圧で一定限度押し、急に押しすぐ放す
患者の防衛反応を少なくし苦痛を最小限にする効果がある。
通常圧法より反射作用がある。
③  緩圧法
二度押し、三度押し。軽く、心地よく、強く3回に分けて押す。
比較的圧が深部まで浸透しやすく、慢性疾患や深部の硬結に効果がある。
④  持続圧法
主に手掌にて押す。
広範囲に当たるため温熱作用がある。
冷え性、下痢、腎臓、膀胱の異常などに効果がある。
⑤  吸引圧法
手掌を皮膚に密着させ皮膚を吸い上げる。
顔面神経麻痺、内臓下垂、皮膚萎縮、皮下脂肪過多などに効果がある。

精誠堂 飯田橋 針灸マッサージ治療院 院長 藤本 博和 / 釜石 宏之