中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
内踝の少し上に「三陰交」というツボがあります。
冷え性や婦人科のツボとして雑誌などで見聞きしたことがある人もいると思います。
「血の道症」とも呼ばれる婦人科症状は、その改善法の一つとして針灸治療が選択されることの多い分野の一つだと思います。
「母乳は白い血液」などとも言われますが、中医学では「女子は血を以って本となす」と言われ、月経から妊娠育胎、出産、授乳に至るまで、女性の身体はいずれの時も大きく「血」と関わっています。
婦人科における血の問題は、五臓の内では「肝・脾・腎」の三つが主に関わってきます。
先ず、血を生成するという点において「脾」の働きが重要になってきます。
血液は摂取した食物から作られますが、食物を受け入れる「胃」と、それと表裏関係にある「脾」が協調して働くことで、食物から栄養を吸収し、新鮮で十分な血液が造られます。
生成された血は主に身体の前面正中を通る「衝脈・任脈」というルートを通って子宮へと運ばれますが、子宮を満たした血液は妊娠が無かった場合、一度体外に排出されてリセットされます。これが所謂「生理(月経)」です。
中医学には「旧血不出、新血不生(古い血がしっかりと排泄されなければ、新しい血が生成されない)」という言い方がありますが、生理の時にしっかりと古血が出ることは、次にまたしっかりと新しい血を生成し、次の生理までの間、子宮内の妊娠の準備をする為にはとても重要なことなのです。
「肝」の臓は、この一連の生理周期や血のスムーズな流れをコントロールしていています。また脾で生成された血を一旦貯蔵し、必要に応じて循環する血液量を調整する役割も担っています。
これらの二臓に対し「生殖」という"先天的な働き"そのものを担っているのが「腎」の臓です。父母から受け継いだ先天的な「精」(先天的な生命エネルギー)を蔵しているのもこの「腎」の臓で、「血」との関係で言えば「精と血とは同源である」ともされています。
このように、針灸医学では婦人科症状も婦人科臓器以外の様々な臓腑・経絡が関わった全体症状として捉え、その協調した働きを調整してゆきます。
冒頭の「三陰交」というツボは、この「肝・腎・脾」の「三つ」の「陰経脈」が「交わる」処と言う意味で、これら三つの臓を同時に刺激することが出来ることから"婦人科のツボ"として多用されるという訳です。
(※日中友好新聞2017年2月5日号・第2407号に掲載のコラム《針灸治療の勧め⑤》「婦人科の針灸医学」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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