中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
前回、〝感情〟が気の流れや「五臓」に影響を与えるということ紹介しました。
同様に中国の古典医学の中では、〝こころ(精神)の働き〟もまた「五臓」と密接な関係にあります。
もちろん古典中にも「神(精神)」の坐が「脳」にあると捉える見方もありますが、「五行説」(様々なものを「木火土金水」の五つの要素に分類配分する思想)においては〝こころ(の働き)〟は「魂・神・意・魄・志」の五つに分類され、各々が「肝・心・脾・肺・腎」の「五臓」に宿っているとされています。
「神」というは「君主の官」とも呼ばれる「心」の臓に宿っています。精神(こころ)の総監督的な存在と言って良いでしょう。
「意」というのは、"意識"の"意"、"意思"の"意"のことで、"思ったり"、"感じたり"、"考えたり"、"結論を出したり"、といったこころの働きを指しています。これは「脾」に宿っています。
「志」といのは何か目標に向かって積極的に働くこころの動きです。「やる気・気力」と言い換えても良いでしょうか? これは父母から頂いた先天的なエネルギーを蔵し、生殖機能とも関わりの深い「腎」に宿っています。
(「魂・魄」の二つについては説明が難しくなるのでここでは省略させて頂きますが、「魂」は日本語の「たましい」に近い意味合いも含まれており、臓腑との関係では「魂」は「肝」に、「魄」は「肺」に宿っているとされます。)
では、これら〝こころの働き〟と「五臓」とはどのような関係があるのでしょうか?
例えば、ストレスやイライラで「肝」に負担がかかれば、「肝」に蔵されている「魂」もしっかりと肝に留まることが出来ず、ふわふわと落ち着かなくなります。すると睡眠中などは夢が多く眠りが浅い、熟睡できないといった状態になるかもしれません。
「意」を働かせ過ぎると「脾胃」に負担がかかります。考え込んだり思い悩んだりし過ぎると、胃が痛くなったり、食欲が無くなったり、ひどいと胃潰瘍になったりするといった経験のある方も少なくないと思いますが、まさにそういった状態です。
こういったストレスが続いて鬱滞、鬱積した気が熱化し、肝や胃に熱がこもると、その上に位置する「心」を熱します。そうすると、その熱さで「心」に宿る「神」が落ち着かなくなり、精神的に不安定になるかも知れません。
「心」の影響が五行で〝火〟(=心)と〝水〟(=腎)の関係にある「腎」に及ぶと、そこに宿る「志」の働きが弱くなり、やる気が出なくなるなどの状態になるかもしれません。
形ある「五臓」の状態も形なき〝こころの働き〟も身体を流れる気の状態の現れそのものです。 〝こころ〟の状態はそのまま〝五臓〟の状態に影響し、〝五臓〟の状態はまた〝こころ〟の状態にも影響します。
経絡上の気の流れを調え、五臓六腑を調整することはそのまま〝こころ〟の状態に働きかけることにも繋がります。
針灸治療は、気血の流れを調え、五臓六腑のバランスを調えることで、現代社会で問題になっている〝うつ〟などの〝こころ〟の問題にもお役に立つことが出来ます。
(※日中友好新聞2017年4月5日号・第2413号に掲載のコラム《針灸治療の勧め⑦》「〝こころ〟と五臓 ~〝うつ〟にも針灸?~」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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