中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
『五臓六腑に染み渡る』などという言い方がありますが、そもそも『五臓六腑』が何を指すのかを言える人は意外と少ないようです。
『五臓』とは『肝・心・脾・肺・腎』の五つの臓器を指し、『六腑』は『胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦』の六つを指します。
中医学では五臓に『心包』を加えて『六臓六腑』を臓腑として扱います。
『心包』と『三焦』については現代医学の臓腑には無い名称ですよね。(『心包』と『三焦』とがどういったものかということについては説明が少々難しくなるので省きます)
この聞きなれない二つの臓腑があるということに限らず、その他の臓腑についても、中医学で言う『臓腑』が指し示すものは、名称は同じであっても、現代医学でいうところの『臓腑』とは全く同じではありません。
どう違うのかは、これまた長くなるので省略しますが、『臓』と『腑』の間に〝表裏関係″があるとするのも現代医学とは異なる中医学の観点です。
例えば、五臓六腑(六臓六腑)の内、中医学では『肺』と『大腸』は表裏関係にあります。
『肺』は、その他の臓腑を覆う蓋の様に五臓の中で一番高い場所に位置し、呼吸の動きによって気や水分を、まるでシャワーの如く高い位置から下方に向けて全身に散布します。
一方、『大腸』は、『腑』というルート(口から入って排泄器官から出るまで)の最後に位置し、主な働きは〝排便″です。
この両者の関係の中では、例えば、呼吸が浅く、肺による上位からの気や水分の散布力が弱ければ、便が乾いたり、下方(体外)に押し出す力が不足して便秘になる可能性があります。
逆に便秘気味だと、呼吸が浅く胸が詰まった様に苦しくなったりする可能性があります。
つまり『肺』が気や水分を「上から下に散布する」働きと、大腸によって口(上)から入って来たものが便として「下から出て行く」こととが、身体の中が上から下に〝通る″という身体の正常な働きにおいて表裏の関係となっているのです。
針の治療では常にこうした身体全体のバランスを診ながら、身体の中が〝通る″ようにしてゆきます。五臓六腑や経絡、内外表裏の様々な流れが〝通って″こそ、まさに〝栄養″や〝元気″が『五臓六腑に染み渡り』ます。
(※日中友好新聞2017年5月5日号・第2416号に掲載のコラム《針灸治療の勧め⑧》「五臓と六腑は裏表の関係」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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