中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
湿疹や蕁麻疹、乾癬などの皮膚疾患に悩んでいる人は多いようです。
素人目には一見似た様な症状でも、湿疹と蕁麻疹では症状の出方が異なり区別されますし、乾癬もまた前二者とは異なるものです。その乾癬にもまた様々な種類があります。脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、類乾癬などは乾癬と似た様な症状が現れ乾癬と間違いやすいのですが乾癬とは別の疾患です。
このように現代医学では皮膚の疾患は細かく分類され、鑑別し辛い場合には皮膚の一部をメスで切り取って顕微鏡で調べる(皮膚生検)などして診断します。
各々原因や対処法(治療法)が異なるので、長引く皮膚症状は一度現代医学的な診断を受けておくことも必要だと思います。
ただ、薬(内服、外用ともに)を使っている分にはある程度症状が緩和されても、少しでも薬を止めると直ぐに悪化するといったことの繰り返しで、長引く症状に精神的疲労を覚えたり、また薬の副作用や、ステロイドなどの薬を長く使用したくないといった悩みを抱えている方も多いようです。
そうした方が、何とか薬以外の方法で症状を緩和することは出来ないか、もしくは体質改善などをして何とか根治に近付けないか、と言って針灸治療の門を叩く場合も少なくありません。
赤みや痒み、乾燥などの皮膚症状は、中医学では、原因の一つとして、飲食に起因した身体の中の余分な湿気が熱化した「湿熱」や、その熱が招いた乾燥(化燥)によって生じると考えます。 あるいは、そうした熱や乾燥が皮膚に生じるのは、そもそも、皮膚の潤い・滋養成分である「陰血」の不足がベースにあることも考えられます。
陰血が不足する原因としては"疲れ"や"ストレス"も大きく関わってきます。"疲れ"や"ストレス"は「血」を消耗してしまうと共に、「気」の巡りを停滞させ、陰血が皮膚の表面隅々にまで行き渡る働きを阻害するからです。
飲食に起因した「湿熱」の発生は「脾胃」に問題が生じている可能性があります。飲食物から気血を生成する基点である「脾」と「胃」はその働きが低下すると不要な「痰湿」を生じ、その鬱積が「湿熱」を生じます。この場合、患者さんは皮膚症状以外にも痰湿に関わる症状(普段から痰が絡みやすい、むくみやすいなど)や脾胃に関わる他の症状(いわゆる胃腸症状など)があるかも知れません。
皮膚の潤い・滋養成分である「陰血」の不足がある場合にも、「脾胃」は血を生成する源として重要ですが、生成された血をストックし血液量を調整する働きとしては「肝」という臓も大きな役割をもっています。「陰血不足」の場合にはこうした「脾胃」や「肝」の不調が関係しているかも知れません。
また「肝」は、"疲れ"や"ストレス"が原因の場合にも大きな関わりがあります。「肝」の臓は血液量を調整すると共に、全身の気の巡りをスムーズにするという重要な働きを有しており、またストレスの影響を受けやすい(イライラなどで気の停滞を引き起こす)臓でもあります。
また中医学では、「皮膚」は「肺」の臓との関係が深く、気血を皮膚表面までくまなく行き渡らせるのは「肺」の主な働きのひとつです。この点では、皮膚表面の「陰血不足」は「肺」の問題、肺の状態の反映である可能性もあります。この場合、患者さんは秋から冬にかけての乾燥の時期に風邪をひきやすいなど、肺や呼吸器に関係する身体状態を有しているかも知れません。
今回ここに紹介した皮膚疾患に対する中医学的な診方はほんの一例ですが、このように中医学では、皮膚症状を引き起こしている気血水の偏り、そしてその気血水の偏りを引き起こしている五臓の不調を探り、それを調えることで結果的に皮膚症状の改善、並びに根治を目指します。
(《日中友好新聞》2017年9月5日号・第2425号に掲載の「針灸治療相談コーナー②」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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