中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
七六才の男性で、十年前から耳の聞こえが悪くなり、耳鼻科で検査をした上で補聴器を使用しているものの、補聴器の音量を大きくしても会話が理解し辛くなって来た、とのご相談がありました。
以前にも「難聴」のご相談がありましたが(本コラム2019/1/15)、その時は、"耳鳴り"や"眼精疲労"、"頭痛"といった症状も伴った難聴で、PC仕事による"ストレス"などが原因のものでした。
今回は、耳鳴りなどの他の症状はそれ程みられない、所謂「老化」に伴うものではないかと推測されるものでした。
つまり、同じ様な症状でも、前回の「耳鳴・難聴」の例は、"ストレス"に因る"気の停滞"が原因のものでしたが、今回のケースは(ご相談者の年齢からも)"「腎」の虚弱"がその根底にあり、それが「耳」の症状として現れたものと考えられます。
中医学では「五官」は各々「五臓」と密接な関係があるとされるのですが、「耳」は特に「腎」との関係が深いとされています。
「腎」という臓は、両親から頂いた"先天的なエネルギー"を蓄えている臓で、"成長"や"老化"と密接な関係があります。
身体各部との関係で言えば、「腎」は「耳」以外にも「歯」や「骨」とも深い関係があります。そのため、その関連性から「歯」のことを「骨余」と言ったりもします。(ちなみに、「髪」は「血余」、「爪」は「筋余」などと言われます。)
"成長"や"老化"と密接な関係のある「腎」が加齢と共に弱くなって来ると、「耳」が遠くなったり、「歯」が弱くなったり、「骨」が弱くなって背中が丸くなったりしやすい、というのは何となく関連性が分かりやすいですね。
中医学では、眼・耳・鼻などの「五官」は身体"内部"にある「五臓」が身体の"外部"に向けて開けた身体表面の「竅(あな)」だとしています。
したがって中医学では、「五官」と「五臓」とは密接な関係にあり、症状は「五官」(今回は「耳」)にあっても、それは五臓六腑や気血津液などの"身体内部"の状態が反映したもの(の可能性もある)として診てゆきます。
では、「耳」以外の「目」、「鼻」、「口」などは、どの「臓腑」と関連があるのか? また、「骨」や「歯」以外の「筋肉」や「皮膚」、「髪の毛」や「爪」などの身体各部は「五臓六腑」の内のどことどのような関係があるのか?
この辺りは機会があったらまた各々お話ししたいと思います。
(《日中友好新聞》2018年11月5日号に掲載の「針灸治療相談コーナー」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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