中国針灸「精誠堂(せいせいどう)」【千歳烏山 本院】東京都世田谷区南烏山5-9-2 【飯田橋針灸マッサージ治療院】東京都千代田区富士見2-2-3 ドーム飯田橋1F
雨天や、今にも雨が降り出しそうな曇天の時に頭痛が出る、というご相談がありました。
このように雨天・曇天などで症状が出現、もしくは悪化する場合、中医学では先ず「湿邪」との関係を疑います。
"身体の実に60%以上は水分"、といったことは皆さんも聞いたことがあるでしょう。身体にはもちろん十分な潤いが必要で、中医学では「津液(しんえき)」と呼ばれる潤い成分が、必要な部位に必要な量だけ、適度に循環していることが大切だと考えています。
ところが、水分摂取や飲酒の過多、水分代謝を主る臓腑の不調、その他様々な要因で体内の水分が上手く捌けずにいると、不要な部位の不要な水分が「湿」となって体内に停滞します。
そうなると、外界(自然界)の「湿気」が高まった時に、身体内部の「湿」が滞っている部位に影響し、「湿邪」特有の症状が出現、もしくは症状が悪化します。
「湿気」というと皆さんも"重くどんより"としたイメージがあると思います。今回のご相談も「頭痛」以外に「酷いと全身の重だるさを伴う」ということですので、この身体の"重だるさ"が身体に「湿邪」が停滞している現れと考えられます。頭痛の種類も「鈍痛」ということですので、「湿」による"重痛い"感覚と言えるでしょう。
時に「差し込む様な痛み」もある様ですが、この種の痛みは中医学では一般的に「瘀血(血の停滞)」による痛みを疑います。ただ、「湿邪」によって気血の流れが阻害されると、結果的には瘀血や気滞も生じ得ますので、今回のケースでは、第一の原因はやはり「湿邪の停滞」と考えてよいでしょう。
このような場合、主な症状は"頭部"にありますが、体内の「湿」は主に「脾」の臓と「胃」の腑とが協調して処理することから、例えば、胃の気が集まる「中脘」や胃と脾の経絡を相互に連絡している「豊隆」といった、頭部からは離れた"腹部"や"足"に在るツボを刺激して体内の湿邪を捌くことで頭部の症状の軽減を図ったりします。
このような考え方は、頭痛以外でも、例えば、雨が降ったら(降る前は)膝が痛い、といった症状の時も同様です。
また、"湿"だけでなく、"乾燥"や"熱"などといった様々な状態も、体内の状態と自然界の状況とが相互に呼応して、症状の発症や増悪を引き起こすと考えますので、どういった時に症状が発症、或いは増悪や軽減をするのかは、身体内部の状態(症状の原因)を探る重要な要素の一つとなるのです
(《日中友好新聞》2019年2月5日号に掲載の「針灸治療相談コーナー」を加筆訂正)
賀偉総院長が施術を行う本格中国針灸の専門治療院
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