中医学からみる顔色

　顔は、自分の名刺と言っても過言ではないほど、体の中で最も注目される部分です。
　他の方とコミュニケーションをとる際、「顔色を伺う」ことは一つの重要な方法ですが、中医学でも、四つの診断方法（望聞問切）の中で、望診を「上工」と言い、とても重要視されます。舌のほか、顔色も大事なチェック項目となり、目から得る情報で体質判断します。
　東洋医学で言う「五臓」とは、現代医学の「臓器」という概念とイコールではなく、もっとたくさんの意味合いがあります。特に五行説では、五臓は、それぞれ五官や五色（顔色もその一部分）と相関しているとされます。西洋医学の検査ではデータに異常がないのに、原因不明の不調で悩む方の多くは、これらのバランスが崩れ始める段階で、東洋医学では、これを「未病」と言います。
　病を極初期段階に気づき、対処するのがベストで、顔という花を綺麗にするには、根幹の五臓六腑のバランスを調整するのは不可欠だとだと中医学は考えています。

　顔色や目白が青っぽい方は、「肝」に問題があることが多く、目や爪、筋と関係があり、血液の貯蔵や新陳代謝、精神面のストレスとも深く関係します。女性の場合、生理前のイライラはまさにこれの影響です。
　お酒を飲まなくても、顔色が赤っぽい方は、「心」に問題があることが多く、不安が強い、不眠や高血圧など、心臓と血管系のトラブルが予想されます。
　黄疸の可能性を除いて、顔色が黄っぽい方は、「脾」に問題があることが多く、消化機能が弱く、浮腫みやすい傾向があります。貧血気味で生理不順の女性の多くがこのタイプです。
　顔色が白っぽい方は、「肺」に問題があることが多く、皮膚と呼吸器系のトラブルが予想されます。乾燥に弱いので、これからの季節は要注意です。
　顔色が黒っぽい方は、「腎」に問題があることが多く、水分代謝、泌尿器系のほか、ホルモンや生殖発育にも関与しており、加齢による白髪、歯や腰のトラブルの多くは、腎機能の低下によるものだと考えられます。

　ぜひご自身やご家族の顔色を時々見てみることをお勧めします。何か気になることがありましたら、ご気軽に御相談ください。